松屋銀座 「銀座の男」市

<10月9日>

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松屋銀座にやってきた。
目的は、これ。

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「銀座の男」市
松屋銀座の紳士服催事。
かの「バイヤー宮崎、渾身の企画」、である。

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10時のチャイムと同時に開店。
入口には10数名の人々が固唾を飲んで待ち、入店。
流石は銀座、走る人は居ないが、カジュアルな出で立ちの若い衆がスタスタと先頭を切って歩いていったので、後についてエスカレーターを上がっていく。
※エスカレーターは元来歩行して昇降するものではないそうですので、決して駆け上がったり、駆け下りたりしてはいけません。
入口で迎え入れてくれた受付のお嬢さんを始め、各フロア毎にいらっしゃいませ、とお出迎え。
開店一番の百貨店だなんて、30年前の名鉄百貨店のバーゲン以来じゃないかな?
8階のイベントスクエアに到着。
来場者としては三番手だが、右も左もわからず、さてどうしたものかいな?
と、声を掛けてくれた女性販売員さんに
丸縫いの既製スーツは・・・
と、訪ねると、これを聞きつけたひときわ目立つ白の三つ揃えの紳士が、
ご案内いたします、こちらへどうぞ
と、先導してくれた。
毅然とした立ち居振る舞いに、溢れんばかりのオーラがほとばしっている、こちらの紳士。
そう、バイヤー宮崎氏ご本人なのだ。
いや、もうスミマセン。
もう折角だからと、田舎者丸出しで見立てをお願いしてしまった。
宮崎氏によれば、背が低く中年体型なわたしでも、パターンオーダーではなくと、既製の丸縫いスーツで十分フィッティングできるとのこと。
それではと、本催事の目玉(バイヤー宮崎、渾身の企画)である、丸縫いスーツの中から見繕っていただく。
先ずは、チャコールグレーのスーツ。
生地は日本製のウールだが、その生地がこだわりのひと品。
ドイツ(当時は西ドイツかな)の織機メーカー、ションヘル社のライセンスを得て、今から50年ほど前に製造された織機を使って織られた生地だという。
もちろん、織機なのだから、手動の機織機に較べれば大量生産するための設備なのだろうけど、その後、更に省力化された高速大量生産の織機が登場。
生産性向上という錦の御旗のもと、件の織機は次々と姿を消していったのだという。
だが、最新機器への設備投資がままならなかった、家内制手工業ともいえる生産体制を続けていた機屋さんの中に、僅かながら機織を続けている職人さんが今でも居られるのだそうだ。
大量生産(マスプロ)では得ることの出来ない風合であるとか、仕立てた際の着心地であるとかを、是非とも感じ取って欲しいという、宮崎氏の熱い想いがヒシヒシと伝わってくる。
また、もう一着はトラディショナルな濃紺の生地で同じ丸縫いスーツ。
丸縫いとは、仕立て職人が一着のスーツの全工程を縫い上げることを意味する。
よって既製服ながらも、テーラーメイドの思想で縫製されているから、袖丈の直しなどにも充分対応できるという。
袖を通してみる。
生地も先ほどと同じションヘル織機で織られた生地。
だが、先ほど袖を通したスーツとは明らかに着心地が異なる。
どちらかというとイマドキなタイトフィットだったグレーのスーツとは異なり、昭和のオッサンなわたしにはこちらの方がしっくりきた。
同じサイズの服であっても、デザインの差異はもちろんのこと、生地の織り方によっても着心地は異なってくるというのだ。
腕を上げてと言われ、肘を上げても肩が突っ張ることも無いほど。
わたしの場合は、袖丈を15mm詰めると丁度良いシルエットではないか、という見立て。
パンツ(スラックス)の方は、ちょっとばかしビール腹でも直しは充分に効くそうな。
これもテーラーメイドの思想だと。
加えて素晴しかったのが、濃紺な生地なのに、姿見の中のわたしがパッと明るく映えて見えたのだ。
そして、この着心地の良さ。
いや、これいいかも♪
たったの二着で、ものの見事に宮崎氏による見立てが完成。
その後もしばらく、宮崎さんの紳士服に対する熱い想いを窺った。
生地を織る機屋さんも、はたまた丸縫いの職人さんも、後継者問題や設備維持の問題に直面しているが、どうにかこの良い「ものづくり」のスキームを絶やさないよう、宮崎さん自身も奔走しているようだ。
わたし自身、設計を生業とする「ものづくり」に関わる者の端くれとして、宮崎さんのお話には、大変感銘を受けた。
また、宮崎さんの何が凄いかというと、その類まれな行動力だろう。
直面した課題があれば、自ら率先して解決にあたり、他にできなければ自分から成し遂げてしまうというバイタリティーをお持ちだ。
わたしなど遠く足元にも及ばないが、見習わなくては成らない姿勢であり、爪の垢を煎じて飲ませてもらえ、と父親に言われそうだ。
なんだかんだ30分近くお話をさせていただき(聞かせていただいたお話は、まだまだたくさん)、濃紺の丸縫いスーツを頂くことにした。
フィッティングルームには専門のフィッターが待機しており、宮崎さんの指示に従い採寸と確認を行う。
ジャケットの袖丈はピッタリ。
パンツはウエストがビタ。
寸法公差で言えば、±0と言っても過言ではない。
が、流石に±0では実生活上破綻が生じるので、公差を+側に振ってもらうこととした。
裾丈(我ながら、短っ!)を決めてフィッティング完了。
直しの手続きと会計の際にも、「いかがでしたか?」と、わざわざ確認に来ていただいた宮崎さん、本当に恐縮してしまう。
わたしの住所に「静岡」の文字を見つけた宮崎さんに、逆に恐縮されてしまう。
いえいえ、出張の「ついで」ですから・・・σ(^_^;

最初に案内していただいた際、宮崎さんに向かって、「テレビで拝見しました。」
と、つい言ってしまったのだが、お陰でこのようにお話することが出来てよかった。
おかげさまで、良い買い物ができました。
一緒に記念撮影を、などと好からぬ考えがよぎったが、流石にそれは抑えた。
「銀座の男」のすることではない。

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お忙しい最中にも関わらず、本当にありがとうございました。

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